アクリル画アーティスト戸田順子
2025.10.03
大阪でアクリル画家として活動している戸田順子です。
今では“幸せ探しの旅シリーズ”などを通じて、フクロウや風景を描いていますが、私が絵を描き始めたきっかけは、決して穏やかなものではありませんでした。
約15年前、私は突然「がん」と向き合うことになりました。
当時の私にとって“がん”という言葉は「死」と同じ意味を持っていました。
きっかけは父の病です。
肺がんで入院していた父を見て、私も念のため検査を受けることにしました。
その結果、私自身にも大腸がんが見つかりました。
父はその後、静かに旅立ち、私は深い悲しみと絶望の中に沈みました。
幸い、私のがんは初期で見つかり、内視鏡で切除できました。
抗がん剤治療は不要でしたが、定期検査のたびに襲ってくる不安と恐怖は計り知れませんでした。
そんなある日、今度は不正出血があり、子宮頸がんの高度異形成が見つかりました。
再び内視鏡で切除できたものの、「再発の可能性」という現実に怯えながら、3か月ごとの検査に通う日々が続きました。
――この恐怖は、同じ経験をした方にしかわからないかもしれません。
そんな中で、私の心に一つの思いが芽生えました。
「自分が生きた証を、何か形として残したい」。
その思いに導かれるように、私は自然と筆を手に取りました。
理由はうまく説明できませんが、絵を描くことはまるで“生きていることを確かめる行為”のようでした。
アクリル絵の具の色が広がるたびに、心が少しずつ解きほぐされ、希望の光が差し込むのを感じました。
絵を描くことは、私にとって“生きる力”そのものになりました。
キャンバスに向かう時間は、恐怖や悲しみから私を救い、前へ進む勇気をくれました。
もし病気になっていなければ、私は今のようにアクリル画に出会うことはなかったかもしれません。
あの出来事があったからこそ、大阪のアトリエでアクリル画家として生きる今の私がいます。
これからも絵筆を通じて、私が歩んできた“いのちの軌跡”を描き続けていきたいと思います。
そして、私の作品を通じて、見る人の心にも「生きる喜び」と「希望の光」をお届けできたら幸せです。
